大阪湾と淀川河口を漁場としている大阪市漁業協同組合さん。
海の環境変化について取材しました。
お話を伺ったのは大阪市漁業協同組合の畑中さん。
【記者】漁場はどこですか?
【畑中さん】漁場はですね、大阪湾と淀川河口10kmです。
大阪市内の港区、此花区、西淀川区に船だまりがあって、そこで漁師さんが魚の保管所として漁協を使っています。
【記者】どんな魚がとれますか?
【畑中さん】うちの漁協では船引き網漁業という漁業をしていますので、大阪湾ではイワシ、シラスとか、あとはイカナゴです。
淀川の河口では天然のウナギとか、シジミ、あと刺し網でスズキやチヌをとっています。
【記者】一番困っている事は何ですか?
【畑中さん】困っているところは、漁獲量が減ってますね。
10年前、20年前と大阪ではイカナゴをとっていて、1か月まるまる漁についたんですけれども
近年、ここ数年、今年、去年とかでは数日間しか漁に行けてないんですね。
いろいろ複数のことが重なっているのではないかなと思うんですが、イカナゴの問題というのと、あと淀川の河口ではないと思うんですね。
特にシジミは15年ぐらい前だと100トンぐらい年間にとれたんですけれども、それがもう数100キロしかとれなくなってしまって。
天然のウナギもそうなんですけれども、ウナギも何100キロとれたのが本当に今100200キロぐらいしかなくなってしまっています。
【記者】原因は何だと思いますか?
【畑中さん】よく目で見てわかるのは、冬場に川とか海がきれいですね。透明度が非常に高いっていうのがすごく感じるところと、あと温暖化、水温がちょっと高いんちゃうかなとか。
あと異常気象なので、川だと雨が降るのは集中的に来るので。ほかにも梅雨が長かったりすると、ずっと真水だったりとかあります。
あときれいというのも、排水関係をいろいろカットしてきてそういう排水が昔だったらちょっと悪いだったのが、今きれいにしているので。
よく”湧水がよければ魚住まず」って言うじゃないですか、きれい過ぎるんじゃないかなという気もしますし。
藻場とか干潟とか、そういう治療が育つ環境っていうのがちょっと少なくなってきていると思いますので、
干潟を造成してもらったりとか、藻場をつくってもらったりとか、そういう稚魚が育成できるような環境というのを増やしていくことがこれから重要なんじゃないかなというふうには思っています。
【記者】海食文化について、どう思いますか?
【畑中さん】本来はそこでとれるものをどういうふうに活用するかというところで、地元で本来はやるべきことだと思っています。
地方に町を出たら、どこかへ行って、そこの土地のものを食べたいと思うんですけれども、忘年会すると同じものしか出ないですね。
大体魚とかも多分大阪でいろいろなお店さん、マグロは大体同じものしか出なくて、やっぱりその地域性というのがなかなか見出せない中で、食文化、そこでとれるものを
どういうふうに出していいかというのがその地域の地域の特色になると思います。
食文化というのは本当に大事なそこであるということは、それが適しているということだと思いますので、そこでとれた天然の食べる機会がない魚などをふやすことによって地域の盛り上がっていくんじゃないかと思います。
【記者】この10年20年で漁師や船の数はどうなりましたか?
【畑中さん】漁師は減りました。すごい減ったと思います。
半分ぐらいになりました。原因は高齢化です。高齢化というのと、あとなかなか入ってこないですね。新しい人。何で入ってこないかというと、食べられないんですね。(生活できない)
漁業だけでは食べられない。
食べれる魚、主な魚種には集まってくるんですけれども、一方でうちは天然ウナギとれるので、天然ウナギのテレビをNHKなり民放が毎年やってくれます。
そのたびに電話が入って、漁師になりたいという人がいるんですが、そもそも魚の数が少ないので、取り合いもできないので困っています。
例えば求人してなってほしいという業種であればいいんですけれども、やはりコミュニティーというのがあるので、誰でも誰でも入ってきて自由にしていいとはいかず
ちゃんと親方について勉強して、ちゃんとできるようになってから入ってきて欲しいですね。
【記者】養殖業についてはどう思いますか?
【畑中さん】私はやっていないんですけれども、安定供給という面では、養殖というのはすごいいいことなんじゃないかと思います。
しかし養殖をするというよりも、どちらかというと天然の魚をふやすことをしないと、養殖だと餌が代がかかるのと、台風とかで死んでしまう可能性というのは非常に大きいので
冒頭にも言いましたが、干潟とか藻場とか、そういう稚魚がふえる環境をつくって、自然に魚がふえる環境を整えることが重要だと思います。
【記者】漁業者の教育について、取り組んでいますか?
【畑中さん】取り組んでいます。勉強会も実施しており、勉強会というのは組合だけで、組合の漁師とかだけで話をしていても進まない、外部からのいろいろな意見を取り入れることが重要だと思っています。
淀川では、うちらは河口から10キロまでの河口域水域でやっているんですけれども、淀川って京都の鴨川や木津川や桂川や琵琶湖から流れていて、川の環境とかを考える上で、流域で考えないと、いくら10キロで考えていても
上流の方はまた違う考えをしているかもしれません。
ですのでその上流の内水面のみですけれどもと、そこの団体と一緒に淀川流域のいろいろ勉強会をしてます。
【記者】商品開発なども行われていますか?
【畑中さん】例えば大阪湾の魚を大阪湾の魚を食べてくださいとか、きれいになりましたとかというのをイベントで言うんですか。やはり思いが伝わらないですね。
やっぱり食べてもらわないと。大阪の魚を食べていれば、食べたらおいしいねってなると、ちょっとイメージが変わってくるので、イメージ戦略というのが必要なんじゃないかなと思ってます。
その中でも余りとれない魚でつくっても、一回つくったらもう終わりになってしまいますので定期的に取れる魚を考え
今年にチリメンジャコを使った「じゃこみそ」という商品を、堺の糀屋雨風さんと一緒に開発して、それを無印良品さんで販売してもらっています。
【記者】最後に、視聴者の皆様にメッセージをお願いします。
【畑中さん】大阪湾に来てくださいと言っても、何もなかったら来られないと思います、いろいろと大阪湾でも淀川でもイベントを開催していますので、そのイベント情報を察知していただいて、
他にも淀川では干潟で遊ぶイベントとか、他にも祭りをするイベントとか、あと大阪湾でもなにわの海づくり大会ととか、いろいろそういうイベントを行って。
海とか川に実際に触れ合ったり、触れ合いなくても食べたり、楽しんで欲しいですね。
そういうふうに魅力を発信できることをしていますので、ぜひ大阪湾や外に遊びに来ていただいて、大阪湾の良いイメージを伝えてと思います。
大阪湾を取り巻く環境について、生の声を聞くことができました。
私たちももっとたくさんの情報を発信していきたいと思いました。