海と灯台プロジェクトの1年を締めくくるシンポジウム「海と灯台サミット2024」が開催されました。
海と灯台プロジェクトは灯台を通して全国を繋ぎ、新たな利活用を模索し広めるプロジェクトです。
古くから日本の海を照らしてきた灯台ですが、時代が進むにつれその役割も変化しています。
そんな灯台を現代でも活用すべく様々な取り組みが実施されました。
その総括として海と灯台サミット2024が開催され、灯台活用した団体の取り組み発表や
有識者が灯台の可能性について熱い議論を交わしました。
海と灯台サミット2024は「灯台で地域活性化」「灯台で〇〇やってみた」「海と灯台学」の3つに分かれて行われました。
まずは灯台で地域活性化では全国各地の5団体が発表を行いました。
▼千葉県 野島崎灯台、野島埼灯台利活用プロジェクト委員会の糟谷直弘さん
▼北海道 神威岬灯台、積丹町地域活性化協議会の小山彩由里さん
▼秋田県 入道先灯台、入道埼灯台利活用事業委員会の田中勝さん
▼長崎県 生月長瀬鼻灯台、灯台からのメッセージ運営委員会の中尾和美さん・久保清悟さん
▼愛媛県 佐田岬灯台、佐田岬灯台利活用推進コンソーシアムの宇都宮圭さんと、愛媛県立三崎高校「未咲輝ゼミ・Cafe to 燈人」の皆さん
どの団体も画期的なアイディアで灯台をメインとしたイベントを開催し、地域にとっても大きな活力になっています。
開催日や翌日にイベントを実施する地域からはリモート中継でプレゼンテーションが行われ、取り組みの内容だけでなく
現場の熱気も会場に伝わってきました。
クロストーク「灯台で○○やってみた」では有識者・芸能人など様々なジャンルの人物が集まり、「やってみた」内容を踏まえてトークを行いました。
▼詩人・ラジオDJ・漫画など幅広く活躍する杉作J太郎さん(右)
▼愛知県 野間崎灯台を拠点に活動する現代版灯台守の仙敷裕也さんと佐々木美佳さん
▼北海道 石狩灯台に降臨した、クセの強いキャラクターでお馴染みの石狩灯台の妖精 石狩灯台お兄さん
また、お笑いコンビ「バイきんぐ」でテレビ番組「西村キャンプ場」で持ち前のキャンプスキルを披露する西村樹さんも登壇し
灯台イベントのエピソードやキャンプの経験を踏まえたトークで盛り上がり、会場から笑いが溢れるシーンもありました。
この他にも、直木賞作家4人が灯台を取材した時に感じた事を発表するなど、
海と灯台サミット2024を通して灯台の新たな可能性について感じることができました。
今回の海と灯台サミット2024について、日本財団 海野光行さんにお話しを伺いました。
記者:海と灯台サミットを開催されて、いかがでしたか?
海野さん:私たち灯台の文化的価値、それと歴史的価値というものをどのように引き上げていくのか、
そして新しいものを生んでいくのかということで活動を進めてまいりました。
その集大成ということではないんですけれども、1年間の振り返りをするという意味で、こういうシンポジウムを開催しています。
いろいろな各地の事例みたいなものもたくさん出てきましたし、楽しいね、ちょっと切り口を変えたような意見交換というものもありました。
いずれにしても、私たちがやってきたことを振り返りつつ、新しい事業展開に向けて一つの区切りにはなったのかなという気はしております。
記者:灯台は僻地にあることが多くアクセスしにくいと思うのですが、いかがでしょうか。
海野さん:おっしゃる通りだと思います。まずはですね、私たち自身の反省としても、呼びかけで灯台に行こうよという呼びかけを一生懸命やっても
やっぱり人の心、行動を変えるところまではいかないという反省もあります。
ですので、実際はいろんな人の興味を言ってもらうようないろんなやり方というものを、これから新しい形で考えていかないといけない。
その一つとして旅というのがあるんじゃないかなと思っています。
灯台というのは、それを目印にして旅をしていくということもありますし、灯台を点であるものを線として結びつけるという意味合いもあるんですけれども
この旅、いろんな興味関心、個人によって違うんですけれども、それぞれの関心、興味によって旅というものをつくって
さらにそれに場合によっては教育的価値みたいなものも付け加えつつ、灯台と旅、これを掛け合わせるような事業展開、あとは提案企画ですね。
こういったものをこれからは実証していけたらいいのかなというふうに思っています。
それをすることによって、なかなか行きづらい場所でも、じゃあこういうところがあるんだったら一歩踏み込んでみようと
一歩を踏み出してみようという方々が増えていくということを期待して、来年以降、事業を実施していきたいと思います。
記者:最後に展望を教えてください。
海野さん:今申し上げたようなこの旅と灯台に何というものをどんどん増やしていきたいというところは考えておりますが
こういった事業をするためには、やはりエビデンスデータをしっかりと集めるというところが大事だと思います。
先ほども壇上で少し申し上げましたが、旅に関するニーズ調査ですね。
需要がどのぐらいあるのか、どういうその旅を求めているのか。
今、地域の食材、ものと結びつけるような、インバウンドの方々が地域に入って、地域の方々と同じような食材をとって食べるというような活動も広がっておりますし
あとアニメ、漫画、これの舞台となった場所に聖地巡礼と称して、その場所に行ってみるというツアーはもう随分できていると聞いています。
こういったことも参考にしつつ、有識者、異分野の方々にもヒアリングをするようなニーズ調査、外国人も含めて日本人も含めてさまざまな方を対象に
少し調査研究をやってみようかなというふうに思っております。
灯台の新たな利活用について様々な意見が聞けました。
灯台に行くきっかけになればいいですね。